岐阜赤十字病院
なぜ?なに?甲状腺

甲状腺とその病気

甲状腺とは

甲状腺は頸部(くび)の甲状軟骨(男性では、甲状軟骨の上部は「のどぼとけ」として、容易に見ることができます)と輪状軟骨の下で、気管の前にあり、蝶々が羽を広げた形をしています(図1)。

男性は女性と比べて位置が低いのが特徴で、重さは男性約20g・女性約17gです。甲状腺の前には胸鎖乳頭筋があり、この筋肉の発育が良いため、甲状腺の腫れではないかと、病院を受診される方もみえます。 甲状腺では、食事中のヨウ素を原料としてサイログロブリン上でT3(トリヨードサイロニン)とT4(サイロキシン)と呼ばれる甲状腺ホルモンが作られます。この合成にはぺルオキシダーゼと呼ばれる酵素が関与しています。T3は分子内にヨウ素を3個、T4はヨウ素を4個もっており、ヨウ素は1個違うのみです。甲状腺からT3とT4の両者が分泌されますが、T4の一部は肝臓等で代謝されるとヨウ素が1個はずれてT3に変わります。血中のT3は甲状腺から分泌されるT3と、T4からヨウ素が1個はずれて出来たT3の両者から成り立っています(図2)。

甲状腺ホルモン(T3、T4)は、下垂体の甲状腺刺激ホルモン(TSH)の支配を受けています。通常は血中の甲状腺ホルモン量が高くなると、下垂体から出るTSHの分泌が低下するため、甲状腺ホルモンの分泌が低下します。逆に、血中の甲状腺ホルモン量が低くなると、TSHの分泌が増えるため甲状腺ホルモンの分泌も増すようになります(図3)。

このように、血中の甲状腺ホルモンは一定に調節されるようになっています。下垂体は頭の中央にある約0.5gの臓器で、TSH以外に成長ホルモンやプロラクチン(出産した後にお乳を出させるホルモン)など重要なホルモンを分泌する器官です。
※下垂体は、実際は脳にある視床下部の支配を受けていますが、臨床の上で、問題になることはほとんどないので、理解しやすいように簡略化して説明しました。

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甲状腺ホルモンは全身の代謝を調節しているので、ホルモンの量によって以下の症状がでます。

ホルモンが多い場合

  • 疲れやすい
  • 汗を多くかく
  • 息切れ
  • 心臓がどきどきする
  • 手がふるえる等

ホルモンが少ない場合

  • 疲れやすい
  • 体重増加
  • 寒がり
  • 声がかすれる
  • 手・足・顔(特に目の周囲)のむくみ等

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