糖尿病療養支援チーム
ごあいさつ
糖尿病療養支援チームリーダー 石森 正敏
厚生労働省の「2016年国民健康・栄養調査結果」の推計で、糖尿病が強く疑われる成人男女が全国で約1000万人に上ることがあきらかになりました。前回(2012年)調査より50万人増え、調査を開始してから最多となりました。
1年間に約1万6千人に糖尿病性腎症が原因で人工透析が開始され、年間約3.000人が糖尿病のために失明し、また、年間約3,000人が糖尿病による足病変のために下肢切断を受けています。そのほか、糖尿病が原因で多くの方が脳梗塞や心筋梗塞などに苦しめられています。
これらの合併症を防いでいくには、なんといってもより良い血糖コントロールを行うことが第一です。そしてそれには適切な薬物療法と共に、食事療法、運動療法をはじめとする生活習慣を改善することが非常に大切です。
当院では、糖尿病を専門とする医師と共に糖尿病看護認定看護師や糖尿病療養指導士の資格を持つ保健師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、臨床検査技師などがチームを作り、「チーム ダイサポ(ダイアベティス サポートの略)」と名付けて積極的に活動を行っています。
その具体的な活動は、外来における糖尿病患者の療養指導、足病変の予防および管理、糖尿病教室の運営、糖尿病関連のイベントの開催、病院スタッフの教育などです。我々の活動が、糖尿病で苦しむ人たちの療養に少しでも役に立てばとチーム一同願ってやみません。糖尿病の療養でお困りの方は、お気軽に「チーム ダイサポ」のスタッフにご相談ください。
外来相談
糖尿病療養相談・栄養相談
外来診察室の一部を利用して「糖尿病療養相談室」を設置しています。当院外来に糖尿病で通院中の患者さんに必要に応じて、糖尿病療養指導士や管理栄養士の資格を持ったスタッフによる療養相談や栄養相談をさせていただいております。「糖尿病ってどんな病気なの?」「血糖コントロールには何が必要なの?」などの疑問にお答えし、血糖を良好にコントロールするアドバイスや足病変が起こらないようにする注意点など様々な相談をお受けしています。詳しくは医師にご相談ください。なお相談にあたり糖尿病合併症管理料170点、外来栄養食事指導料初回260点、2回目以降200点がそれぞれにかかりますのでご了承ください。
糖尿病療養相談
療養生活について一緒にふり返ってみませんか?その他、初めて糖尿病と診断された方やインスリンの使い方、血糖測定器のトラブルなどの相談などをお受けしています。
合併症である足病変から足を守るためのお手入れについて、その人それぞれに合った方法を一緒に考えていきます。
栄養相談
患者さんのライフスタイルに合わせた食事療法を一緒に考え、提案していきます。長く良好な自己管理ができるよう、食生活に関する日頃の疑問・悩みについての話をお伺いします。
透析予防相談
糖尿病のコントロールおよび血圧のコントロールを良好に保つことは腎臓へのダメージを減らします。そうすることで最終的に人工透析に陥る危険性も減らすことができます。自分の腎蔵の状態をよりよく知り、透析に陥らないようにすることが重要です。糖尿病療養指導士の資格を持った看護師、管理栄養士による透析予防指導を行っています。詳しくは医師にご相談ください。なお相談にあたっては糖尿病透析予防指導管理料350点がかかりますのでご了承ください。
透析予防相談
管理栄養士は食事についての相談を中心に、看護師は生活上の相談を中心に行っています。
生活上の相談例
- 薬について
- 血圧について
- 運動について
- 検査データについて
- 生活上の悩みについて
食事についての相談例
- 献立について
- 減塩について
- タンパク制限について
- カリウム制限について
入院相談
入院中はそれぞれの分野の専門家が糖尿病療養について説明にうかがいます。
それぞれの分野で工夫をこらして患者さんによりよく理解できるよう努力しています。そして納得していただき、やってみよう!と思っていただけるよう心がけています。
まずは糖尿病について正しい理解を身につけてほしいと思っています。
入院相談の様子
食事療法について:管理栄養士
バランスのとれた食事が体に良いと言われていますが、具体的に思い浮かべることが難しい方もいらっしゃると思います。食事療法について基礎から応用までお話をしていきます。
運動療法:理学療法士
糖尿病と運動というと一見結びつかないように思えますが、関係は大きくあります。運動が体に与える効果や、血糖に与える効果などについてわかりやすくお話しています。
薬物療法について:薬剤師
飲み薬から注射まで糖尿病の薬は様々な物が使われています。ご自身が飲んでいる薬について知っておくことはとても大切です。それぞれの薬の作用や特徴、様々な注意点などについてわかりやすくお話しています。
検査について:臨床検査技師
検査項目は色々言われるけれど、血糖値以外はよくわからないという方も多いと思います。内容についてしっかりと理解することは糖尿病と共に歩んでいくにはとても重要です。それぞれの検査が体の何の状態を表しているのかなどについてお話しています。
日常生活について:看護師
日常生活全般についてのお話をしています。低血糖の症状や対処方法、シックデイなど教室参加者の皆さんの体験談なども聞きながらお話しています。
フットケアについて:看護師
糖尿病で怖いのが足の壊疽です。ひどい場合は切断に至る場合もあります。そうならないためには毎日のフットケアが大切です。
足の観察のポイントや実際の手入れの方法など足を大切にするための方法をお話しています。実際に靴下を脱いで自分の足の観察を行います。
スタッフ紹介
チームを構成するメンバー
糖尿病看護認定看護師、糖尿病療養指導士(CDEJ)を取得したスタッフが中心となって、患者さんの生活スタイルに合わせたきめ細かな指導を行っています。パンフレットを渡すだけではなく実際に自宅で続けていけるよう、具体的な指導を心がけています。
糖尿病療養指導士とは
糖尿病とその療養指導全般に関する正しい知識を持ち、試験に合格した看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士に与えられる資格です。医師と共に皆さんの糖尿病療養のサポートをさせていただきます。
糖尿病看護認定看護師とは
糖尿病看護認定看護師の役割は糖尿病の発症を事前に予防すること、また合併症を防ぎ健康的な生活が送れるように、生活習慣などについて患者さんやその家族と共に考え、患者さんの生活の質を維持・支援することにあります。
日本糖尿病療養指導士資格取得者数(2018年6月現在)
看護師 | 5名 |
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管理栄養士 | 2名 |
薬剤師 | 2名 |
臨床検査技師 | 1名 |
理学療法士 | 1名 |