栄養課
食事の種類
嚥下訓練食について
「お茶がむせやすい」「食事がうまく飲み込めない」といった嚥下障害は、脳血管障害や認知症、高齢者の筋力低下等が原因でみられる症状です。食べ物や水分が食道ではなく気管に入ると、口の中の細菌によって引き起こされる肺炎(誤嚥性肺炎)に繋がります。嚥下機能が障害された患者様に対して嚥下評価を行い、嚥下機能に適した食事を提供しています。
当院の嚥下訓練食は5段階に分かれています。
1 | 嚥下開始食 | 嚥下困難者用ゼリー |
---|---|---|
2 | 嚥下食1 | お茶ゼリー・果物ゼリー等 |
3 | 嚥下食2 | 重湯ゼリー・汁物ゼリー等ゼリー状中心の食事 |
4 | 嚥下食3 | 軟菜食をミキサーにかけペースト状にした食事 |
5 | 嚥下食4 | 軟菜食を細かく刻んでまとまりをつけた食事 |
嚥下機能が低下した方への食事の工夫
飲み込みにくく注意が必要な食品
- 硬く弾力があるもの(漬物・貝類・かまぼこ・たこ等)
- ポロポロ、パサパサしたもの(炒り豆腐・ひき肉・クッキー等)
- べとつきが強いものや口の中で貼りつきやすいもの(もち・のり・わかめ等)
- 繊維の多い野菜(ごぼう・セロリ・タケノコ等)
- 液体(水・お茶・汁物等)
- 粉っぽいお菓子(きなこ等のついたお菓子等)
- 飲み込む時に水分がでるもの(果汁の多い果物や高野豆腐等)
飲み込みやすくする調理の工夫
- 片栗粉の活用(煮汁にとろみをつけあんかけにしたり、汁物にとろみをつける)
- 粘りがある食材の利用(山芋やれんこんをすりおろしたり、オクラや納豆を包丁でたたいてとろみ付けの材料に使う)
- 油脂の活用(油、生クリーム、練りごま、マヨネーズ等を使って食材をまとめ、のどの滑りをよくする)
- とろみ剤の活用(トロミ剤とは飲み物や汁物に混ぜて、とろみをつけることができる粉末状の食品です。トロミをつけることで食べたものが口の中でまとまりやすく、誤嚥を防ぐことができるため、嚥下機能の低下した方が安全に食事をするために使用します。)
食べ方の工夫
- 時間をかけてゆっくり食べる(小さめのスプーン等を使用し一口の量を調節する、かきこんで食べないようにする)
- 食事の姿勢に気を付ける(ベッドで横になったまま飲食しない、椅子に座り少し前かがみであごを軽く引いた姿勢で食べる)
- 口の中を清潔に保つ(歯磨き等口腔ケアをこまめに行う)
個人の嚥下機能の状態によって適さない場合もあります。
食事や飲み物でむせが頻繁に起こったり、発熱、痰が多い等の症状がある時は早めに医療機関を受診し主治医に相談してください。
嚥下訓練食(嚥下食3)の献立例
- ミキサー粥
- あじの蒲焼き風
- 南瓜の海老そぼろ煮
- 法蓮草の味噌和え
- フルーツペースト(桃)
献立のトータル栄養価(1人分:ミキサー粥普通盛の場合)
エネルギー(kcal) | 643 | たんぱく質(g) | 21.1 |
---|---|---|---|
食塩相当量(g) | 2.1 | 脂質(g) | 8.5 |
食物繊維(g) | 5.9 | 炭水化物(g) | 118.7 |
あじの蒲焼き風 作り方
材料(1人分)
- あじ・・・・・・60g
- 料理酒・・・・・1g
- 小麦粉・・・・・5g
- おろししょうが・2g
- みりん・・・・・3g
- 薄口醤油・・・・4g
- 油・・・・・・・3g
- さやいんげん・・20g
- 薄口醤油・・・・1g
作り方
- あじの蒲焼き風をミキサーに入れ、だし汁80mlを加えペースト状になるまで攪拌する。
- ボウルに移しトロミ剤2gを入れ混ぜながらケチャップ状になるぐらいに濃度を付ける。
- さやいんげんをミキサーにいれだし汁20mlを加えペースト状になるまで撹拌する。
- ボウルに移しとろみ剤0.5gを入れ混ぜながら同様に濃度を付ける。
- 皿に彩りよく盛り付けて完成。
一口メモ
- 食材は少し長めに加熱し柔らかく調理すると良いでしょう。
- 繊維質の多い野菜などは、包丁で軽く刻んでからミキサーにかけるとペースト状にしやすいです。
- 魚の皮と骨はあらかじめ取り除いておきましょう。
- とろみ剤はメーカーにより若干とろみの付き方が異なるため、各製品の使用目安量をご参照下さい。
- 小型のハンドミキサーやすり鉢等を使うと少量でもペースト状にすることができます。