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栄養課

食事の種類

脂質コントロール食について

主に膵臓や胆のうに疾患があり、脂質の制限が治療上必要な患者様に提供されるお食事です。エネルギー量は身長・体重・年齢・性別・活動量などから適正量を算出しています(病状により、エネルギー量を制限する場合もあります)。脂質を抑えてもおいしく食べられるよう食材や調理方法を工夫しています。

食事療法は患者さんそれぞれによって内容が大きく異なります。必要な栄養素が不足してしまうと、体調不良の原因ともなりかねません。
必要とされるエネルギー・炭水化物・たんぱく質・脂質などは、必ず主治医に確認の上、主治医・管理栄養士の指導を受けながら、実行していきましょう。

膵臓、胆のう疾患の食事療法のポイント

病態と病態別食事療法の基本
1. 急性膵炎

入院後、1~2日絶食にして、栄養補給は輸液(点滴)で行います。食事が摂れるようになったら、糖質を中心とした少量の流動食から開始し、徐々に固形化、増量を行います。

<例>

流動食 重湯、スープ、酸味の少ない果汁など
三分粥食 三分粥、豆腐・脂身の少ない肉類・白身魚、繊維の少ない野菜・イモ類など
2. 慢性膵炎・胆のう炎

脂質の多い食品や卵などの食品を制限し、胆のう、胆管の収縮を起こさないようにして発作を予防したり、膵液分泌の刺激を抑えます。
コレステロールを多く含む食品はコレステロール結石を生成しやすいので注意が必要となります。食物繊維を多く摂取すると血中のコレステロールの排泄を促しますので、積極的に食事に取り入れると良いです。

<例>

避けると良いもの 揚げ物、肉の脂身(バラ肉、鶏皮、ベーコン、ソーセージなど)、脂ののった魚(鯖、秋刀魚、鰻など)、バター、洋菓子(アイスクリーム、ケーキ、クッキーなど)、卵、乳製品
胆のう炎や胆石症の方は

胆のう炎は胆のう内に通過障害が起こり、胆汁うっ滞(胆汁が上手く流れ出ないこと)に細菌感染が加わって起こる炎症です。胆のう炎の原因の90%は胆石によるものです。そのため、胆石形成を予防することが重要になります。
胆石症は中年の女性に多く、特に肥満者や高コレステロール血症の人に多いとされています。胆石の主な成分はコレステロールであり、胆石症の原因の70~80%がコレステロール系の結石です。また、胆石の発作の原因は脂質の摂り過ぎにより胆のう、胆管の収縮を起こすためです。

急性膵炎の方は

急性膵炎は様々な原因(特発性、胆石症、アルコールの多飲、脂質異常症)によって活性化された膵酵素(たんぱく質分解酵素、脂質分解酵素)による膵臓の自己消化によって引き起こされます。
アルコール・コーヒーなどのカフェインを多く含む飲料は避けます。

慢性膵炎の方は

慢性膵炎は胆石症、アルコールの多飲、急性膵炎が原因となって起こります。最も多い原因はアルコール性であり、全体の60%以上を占めています。急性膵炎と異なる点は、症状が6ヶ月以上持続します。
アルコールは禁止で、コーヒーなどのカフェインを多く含む飲料や香辛料(こしょう・唐辛子など)の使用を避け味付けは薄味にします。

脂質コントロール食の献立例

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  • ごはん
  • チキンステーキ
  • 小松菜のコンソメ煮
  • 大根の菊花和え
  • 果物

献立のトータル栄養価(1人分:ごはん200gの場合)

エネルギー(kcal) 550 たんぱく質(g) 19.7
食塩相当量(g) 2.0 脂質(g) 7.1
食物繊維(g) 4.7 炭水化物(g) 99.8
チキンステーキ

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ステーキと聞くと頭に思い浮かぶのは肉厚な牛肉のサーロインステーキだと思います。しかし、サーロインは脂質を多く含むため、脂身の少ない鶏肉を使用することで脂質量を制限しながら美味しく食事を楽しめるように工夫しました。

材料(2人分)
  • 鶏モモ(皮なし)・・・60g×二切れ
  • 油・・・・・・・・・・小さじ1

  • 玉ねぎ・・・・・100g
  • 白ワイン・・・・小さじ2
  • 砂糖・・・・・・大さじ1
  • しょうゆ・・・・小さじ2
  • バター・・・・・小さじ1

B:つけ合わせ

  • ブロッコリー・・20g
  • にんじん・・・・20g
  • 塩・・・・・・・適宜
作り方
  1. Aの玉ねぎをみじん切りにし、白ワイン、砂糖、しょうゆと合わせ鶏肉を漬け込み軟らかくする。
  2. 熱したフライパンに油をひき、1.の鶏肉を入れて中火で中までしっかりと火を通す。
  3. 焼きあがった鶏肉を食べやすい大きさに切る。
  4. Aの残った漬けダレをフライパンで煮詰め、最後にバターを加えてソースを作る。
  5. ブロッコリー、人参は塩茹でにする。
  6. 鶏肉と添えの野菜を皿に盛り付け、4.のソースをかける。
一口メモ
  • 鶏肉は皮の部分に脂質が多く含まれているため、皮を取り除くと脂質を減らすことが出来ます。
  • 肉を玉ねぎやワインに漬け込むと柔らかくすることが出来ます。その他、パイナップルの果汁やすりおろした梨にも肉を軟らかくする効果があります。
  • 鶏肉以外にも豚肉の脂肪の少ないヒレ肉などを使用してアレンジするとメニューの幅が広がります。

★脂質コントロール食のポイント

※可食部100g当たりの脂質量

種類 部位 脂質(g)
むね肉(皮なし) 1.9
もも肉(皮なし) 5.0
ヒレ肉(赤肉) 1.7
かた肉(赤肉) 3.5

日本食品成分表2015年版(七訂)より

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