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栄養課

食事の種類

たんぱくコントロール食について

主に腎臓疾患や肝疾患などでたんぱく質・塩分・エネルギーのコントロールが治療上必要な患者様に提供される食事です。各患者様の病状に応じて一日に必要な栄養素量は異なりますので、主治医の指示に基づいた内容で提供しています。食事療法は退院後も継続して行うことが重要です。自宅での食事療法の参考になるように、取り入れやすい食品・調理方法を用いた献立に心がけています。

腎臓病食事療法のポイント

なぜ食事療法が大切か

食事療法の目的は、腎臓病の進行を遅らせることと、体調を良好に保つことにあります。腎臓の機能が低下していくと、健康な時は何の問題もなく体の外に排泄されていたいらない物が排泄されにくくなり、体全体に悪い影響を及ぼします。例えばたんぱく質を多く摂り過ぎると、腎臓からしか排泄されない老廃物である尿素窒素等がたまり、体に大きな負担がかかります。また、だるさやむくみ、高血圧などの原因になるナトリウムの排泄機能も弱まるため塩分を控えることも大切です。

食事療法は患者さんそれぞれによって内容が大きく異なります。必要な栄養素が不足してしまうと、体調不良の原因ともなりかねません。
必要とされるたんぱく質・塩分・エネルギー量などは、必ず主治医に確認の上、主治医・管理栄養士の指導を受けながら、実行していきましょう。

腎臓病食事療法の基本
たんぱく質を摂りすぎない

たんぱく質を摂取すると老廃物となる尿素窒素やクレアチニンなどが増えて腎臓の負担が増えてしまうので、腎機能に合わせてたんぱく質の摂取制限をします。しかし、たんぱく質は体を構成する重要な栄養素でもあり、まったく摂らないというのではなく、指示された量を守ることが大変重要です。
※たんぱく質は肉・魚・卵・乳製品・大豆製品などに多く含まれますが、ごはん・パン・芋類・野菜・果物にも含まれているので注意が必要です。

エネルギー量はしっかりと確保する

エネルギーが不足すると、体のたんぱく質が壊されて老廃物が多くなるため、食事からのたんぱく質を制限した意味がなくなってしまいます。たんぱく質を制限することによって不足するエネルギーは、たんぱく質を含まない糖分や油脂、市販のエネルギー調整食品を上手に利用して補います。

※サラダ油、マヨネーズ等は少量でも高エネルギーなので上手に活用したい食材です。

塩分を控える

高血圧の改善やむくみ対策として1日6g未満を基本とし塩分を控えます。味付けの際は、酢やレモンなどの酸味や香辛料を利用すれば、少ない調味料でもおいしく食べられます。加工品や練り製品、麺類など塩分を多く含む食品を食べ過ぎないこともポイントです。

※塩分制限のポイントに関しては塩分エネルギーコントロール食の項をご参照ください。

その他の注意点

腎臓の機能が低下すると体内に溜まりやすくなるカリウムやリンを制限したり、水分のコントロールが必要な場合もあります。

※カリウムを多く含む食品:果物・野菜・いも類・豆類・肉魚・海藻類・乳製品など
※リンを多く含む食品:乳製品・卵・魚卵・小魚など骨ごと食べるもの・添加物を含む加工食品など

糖尿病性腎症の方は・・・

糖尿病性腎症では、糖尿病の食事療法を原則に、腎症によって引き起こされる高血圧やむくみなどに対する塩分制限などを追加しますが、腎機能の低下が進んだ場合にはたんぱく質を制限する必要があります。

血液透析中の方は・・・

透析は、本来腎臓が持っている働きを完全に補ってくれるわけではありません。より良い状態を保つためには、透析を開始しても食事に注意をすることはとても大切です。患者さん自身の腎臓の残存機能の状態により食事療法の詳細は大きく異なります。

肝疾患(肝硬変非代償期・肝不全)の方は・・・

肝臓病の方も場合によってたんぱく質の制限が必要な場合があります。肝臓病では、体に必要な栄養素の合成や貯蔵が十分にできなくなり、栄養状態が悪化して病気の進行につながります。各種栄養素をバランス良く摂ることが基本ですが、非代償性肝硬変になると、脳症のある場合にはたんぱく質の制限が必要となります。
また、浮腫、腹水のある場合には塩分制限を行う場合がありますが、病気の進行状況により食事療法の詳細は大きく異なります。

たんぱくコントロール食の献立例

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  • 低たんぱくご飯180g
  • 肉豆腐
  • ビーフソテー
  • チンゲンサイのレモン醤油和え
  • デザート

献立のトータル栄養価(1人分:低たんぱくご飯180gの場合)

エネルギー(kcal) 596 たんぱく質(g) 13.3
食塩相当量(g) 2.1 脂質(g) 18.1
食物繊維(g) 2.4 炭水化物(g) 93.5
たんぱくコントロール食

たんぱく質を減らすために牛肉の量を一般食よりも少なくすることで調整しています。

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魚肉ソーセージなどの加工食品には素材そのものに塩分が含まれているため、味付けの醤油などの量を減らしても十分美味しく食べることが出来、減塩につなげられます。

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醤油のみで味を付けると醤油自体の量が増えてしまいます。そこでレモン汁を合わせることにより、レモンのさっぱりとした風味を活かし少量の醤油でも美味しく食べることが出来、減塩につなげられます。

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ごはんにもたんぱく質は含まれます。主食にたんぱく調整食品(低たんぱく米)を使用することで、そこで浮いたたんぱく質をおかずに回すことができボリュームアップにつながります。また、肉や魚などの動物性たんぱく質は米や小麦に含まれる植物性たんぱく質よりもたんぱく質の『質』が良いため、主食でたんぱく調整食品を利用し、副食で動物性たんぱく質をとることは限られたたんぱく質を体内で有効に活用するためにも大切なポイントになります。

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エネルギー補給を目的とした、ゼリーやジュース・ようかん・クッキーなどが市販されています。いずれも、たんぱく質をほとんど含まず、砂糖以外の甘味料や消化・吸収されやすい油を利用し、食物繊維を含むなど血糖値をあげにくくする配慮がされています。エネルギー補給が簡単にでき便利ですが、少量で高エネルギーの物が多いため食べすぎには注意が必要です。

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